
蜂の巣が家の周辺にできているのを見つけたら、慌ててしまいますよね。放置すると蜂に刺される可能性があって非常に危険です。この記事では蜂の巣ができてしまったときの駆除の方法について解説します。
蜂の巣のサイクル
蜂の巣の活動が活発になるのは主に夏の時期で、一年を通して危険だというわけではありません。蜂の巣の活動サイクルがわかっていれば、必要以上に心配しなくてすみます。また、蜂の巣のサイクルを知っておくと、より安全に駆除をすることが可能です。蜂の巣はいつ作られるの?
4~5月頃に倒木や枯れ葉の中、土の中などで冬眠していた女王蜂が目を覚まします。働き蜂は越冬できないので、巣作りができるのは女王蜂だけです。そのため、夏前にできた巣はそれほど大きくありません。巣がひと通り完成すると、女王蜂は1回目の産卵をして働き蜂を育て始めます。 最初の働き蜂たちが産まれたら、女王蜂は産卵のみをおこなうようになり、エサとりや幼虫の世話、営巣などはすべて働き蜂たちにまかせます。個体数が急激に増えるにつれ蜂の巣のサイズも大きくなっていき、コロニー(蜂の家族の規模)が最も大きくなるのは9月の終わりごろです。蜂の巣の活動はいつ終わるの?
10月ごろ、新しい女王蜂が生まれます。新しい女王蜂は、たいていは別のコロニーの雄蜂と交尾をし、その後、翌年の巣づくりのために冬眠に入ります。その年に活動していた女王蜂と働き蜂は冬を越えられずに死んでしまうため、いずれコロニーは全滅します。しかし、11月ころまで生き延びる蜂もいるので、寒くなっても蜂の巣には注意が必要です。 12月になればほぼ活動している蜂はいなくなり、蜂の巣も役目を終えます。残された蜂の巣はもう使われることはありませんが、違う虫が住み着く場合があります。蜂の巣を見つけたときは?
蜂の巣は意外なところにあるものです。住居の近くで見つけると、蜂に刺される危険があるのですぐにでも駆除したくなりますよね。ここでは、蜂の巣が作られやすい場所や、巣を見つけたときの対処の仕方について解説します。蜂の巣が作られやすいところ
女王蜂は雨や風の影響を受けにくい場所に巣を作ります。蜂のコロニーは働き蜂が爆発的に増える夏から秋の間に活動が活発化し、近寄ると刺される恐れがあって危険です。蜂の巣が作られやすいところを把握して、大きくならないうちに駆除しましょう。家などの建物周辺
巣を作り始める春ごろに、庭の木を短く刈り込んだり、死角になりそうな場所をなくしたりして、蜂の巣を発見しやすくしておきしましょう。ハチの巣は植え込みや、木の穴に作られやすいですが、住居まわりで見つかることも多いです。家の軒下や天井裏、壁の中のほか、家と外界をつなぐ換気扇の中や換気口、床下の通気口などにも巣が作られる可能性があります。雨戸の戸袋にも作られることがあるので、定期的に点検してください。山の中や木の根元にも注意
スズメバチは山や森の中など餌を集めやすい場所に巣を作ることが多いです。蜂にとっては巣の安全を確保する必要があるため、基本的には登山道から外れたひとけの少ないところを好みます。うっかり蜂を刺激してしまうと危険なので、登山道から外れて歩かないように注意してください。また、クロスズメバチやオオスズメバチなどのように土の中や木の根元に巣を作る種類もいます。朽ちた大木の穴や、古い山小屋のような雨風がしのげる場所にも大きい巣ができていることがあるので気をつけましょう。蜂の巣を見つけたときの対処法
蜂が飛び回っている周辺には蜂の巣があるかもしれません。蜂に刺されないように注意しながらあたりを探してみましょう。蜂の巣を見つけたら、次のことに注意して落ち着いて対処しましょう。騒いだり近寄ったりしない
立派に育った蜂の巣を見つけたときに驚くのも無理はありませんが、大きな声を出して人を呼んだり、むやみに近づいたりしてはいけません。蜂の巣は蜂たちの大事なテリトリーですから、危険を察知すると攻撃行動をとる可能性があります。蜂の巣ができている場所を確認したら、蜂を刺激しないようにそっとその場から離れてください。蜂の巣を駆除するにしても、しっかり準備を整えてからにしないと大変危険です。刺されないように注意
蜂の巣の周辺には多くの蜂が飛び交っていることがあります。目の前に急に蜂が現れたら、慌てて手で払ったり、棒などを振って追い払ったりしてしまうものです。しかし、うっかり蜂に危害を加えてしまうと、仲間の蜂を呼ばれる危険性が高いです。蜂の集団にしつこく攻撃され、体中を刺されてしまうとアナフィラキシーショックを発症します。最悪の場合は命にかかわるので刺されないように細心の注意を払ってください。オオスズメバチは1匹だけでも強力な毒を持っているほか、毒を飛ばしてくることもあるので、見かけたら刺激しないようにしましょう。蜂の巣の駆除の仕方

蜂の巣を駆除する場合は、じゅうぶんに準備をしてから臨みましょう。不用意に駆除をしようとすると、自分自身が蜂に刺されるだけでなく、周囲に気が立った蜂を飛び回らせることにもなりかねません。ここでは蜂の種類別に、より安全で効率的な蜂の巣の駆除方法を解説します。
スズメバチの巣の駆除
日本にはたくさんの蜂の種類が生息していますが、最も大型で攻撃性が高いのはスズメバチの仲間です。そのため、スズメバチの巣の駆除は大変危険ですので、しっかりとした準備をしてから取りかからなければなりません。駆除の準備
スズメバチの巣に対処するときは、防護服をかならず着用しておこなってください。スズメバチに刺されるとかなりの激痛です。また、スズメバチは体力が高いので駆除剤も多めに用意しておく必要があります。駆除剤が足りないと刺激されたハチが生き残ってしまい、周囲に飛び回ると非常に危ないです。万が一、刺されたときのために毒吸引器を用意しておくと安心です。ただし、一人で駆除作業をすると刺されたときにパニックになることがあるので、なるべく二人以上でおこなうようにしましょう。駆除の時間
日中はエサを集めるために働き蜂が巣から出ている場合がほとんどです。したがって、コロニーに属する個体をすべて駆除するのが難しくなります。夕方になって、巣の場所に働き蜂たちが戻ってくるので注意が必要です。一度ですべての蜂を駆除したいなら、夕方以降におこなうほうが成功率が高くなります。 もし、昼のうちに蜂の巣を駆除するときは、スズメバチが黒色のものに攻撃をしかける習性を利用して黒いねずみ粘着板などを設置しておくとよいでしょう。戻りバチを捕獲するための駆除アイテムもあります。駆除剤をまく
巣の出入り口を確認し、テープを貼ったり布を詰めたりして中の蜂たちが出てこれないようにふさぎます。蜂が外に出てこれないのを確認したら、巣の側面または上部に小さな穴を開けて駆除剤を注入します。さらに巣全体に染み渡るように薬剤を散布してください。長い噴霧ノズルを使えば、離れたところから駆除剤の注入作業ができるのでより安全です。高い場所にある蜂の巣や、障害物があって近づけない場所の蜂の巣にも対処できます。 駆除剤を注入すると巣の中で蜂が暴れまわってものすごい羽音がします。羽音が完全にしなくなるまで繰り返し駆除剤を注入、または散布してください。羽音がしなくなったら、巣を壊して撤去しましょう。スズメバチは生命力が高く、まだ生きている個体がいる可能性があるので、駆除剤は手元においたまま作業してください。蜂の巣を除去したら戻りバチを捕獲するための駆除アイテムを設置しておくと安心です。アシナガバチの駆除
アシナガバチはスズメバチに比べると危険性は低いですが、駆除の際はじゅうぶんに注意して作業してください。危害を加えなければ、基本的には攻撃されることは少ないです。巣も1年で活動をやめるので、実害がないなら無理に駆除する必要はありません。 もし、アシナガバチの巣を駆除をするときは、スズメバチと同様に夕方から夜にかけておこなうと一網打尽に処理できます。アシナガバチも、刺されるとアナフィラキシーショックなどの危険性があるので、防護服を着た状態で駆除してください。巣全体や周囲を飛び回る蜂に駆除剤をまき、生きている蜂がいなくなったのを確認してから、巣を撤去しましょう。ミツバチの駆除
ミツバチは比較的おとなしい蜂ですから、巣をおびやかすようなことをしなければ人を襲うことはほとんどありません。実害がなければ放置しておいても危険性は低いです。毒は弱いですが、カギ状の針を持っていて、深く刺されるとミツバチの体から離れるほど抜けにくくなっていますから注意が必要です。 ミツバチの巣を駆除する場合も夕方以降におこなうほうが効率的です。1匹では弱いミツバチですが、集団で刺されるとやはり危険ですから、防護服を着用し、万全の準備を整えたうえで作業をおこないましょう。駆除の際は、巣全体および周囲を飛んでいる蜂に駆除剤を噴霧します。蜂の動きがなくなったら、巣を撤去してください。巣を撤去しないままでいると巣の中の蜜が垂れてきますから、家屋や建物にできた巣は速やかに撤去したほうがよいです。駆除が難しい場合はプロにまかせる
蜂の巣の駆除は大変危険な作業に思えますが、しっかりと装備を整えておこなえば専門の知識がなくてもできないわけではありません。しかし、蜂の巣を見つけてから防護服などを買いそろえ、身の危険を感じながら自分で駆除をするよりも、プロの業者にまかせてしまったほうがスピーディかつ安心でしょう。巣ができた場所によっては、特殊な道具や技術が必要になる場合もあるため、駆除が難しいと感じたらすぐに専門家に連絡してみてください。まとめ
本来は害虫を捕食する益虫である蜂ですが、人間の生活圏をおびやかす場合もあります。家の周囲に巣ができると蜂に刺される心配もでてくるので、なかなか放置できないものですよね。蜂の巣の活動サイクルや巣ができやすい場所を把握しておくことで、思わぬ危険を避けることは可能です。しかし、いつの間にか近くに蜂の巣ができてしまったときは、安心して暮らすためにも何らかの対処をしたほうがよいでしょう。自分で対応するのが難しいときは、専門家に相談して対処してもらうのが無難です。アシナガバチ スズメバチ ミツバチ 蜂の駆除 蜂の巣駆除