蜂の種類と巣の形状

蜂の種類

蜂の姿が頻繁に見られる場合、近くに巣ができている可能性が高いです。蜂の種類によっては非常に危険なものもいるため、速やかに蜂の巣を駆除したほうがいいかもしれません。この記事では蜂の種類や蜂の巣を見分け方について解説します。危険度がどのくらいあるのか判断し、駆除をするかどうか決めるときの参考にしてください。

蜂の種類にはどのようなものがあるのか

蜂は世界に20万種類以上いるといわれており、日本では4000種以上が確認されています。その中でも身近で遭遇しやすく、被害を受ける可能性が高い蜂について紹介しましょう。

スズメバチの種類

数ある蜂の種類の中でも、最も攻撃性が高くて危険なのがスズメバチです。ほかの蜂に比べて体も大きく、刺されたときの毒の強さと量も強力です。日本全国に生息していて、都市部よりは里山や林間部に多く見られます。ここでは、4種のスズメバチについて解説します。

オオスズメバチ

最大・最強のスズメバチがオオスズメバチです。体長は3~4cmぐらい、女王蜂は5cmになるものもいます。強い毒を持つ蜂の中でも世界最大クラスです。体色のベースはオレンジに近い濃い黄色、胸部は黒で、腹部は黄色と黒の縞模様になっています。刺されたときの痛みが最も強く、また、顎の力も強力なので噛まれるのも危険。閉鎖空間である地中に巣を作ることが多いですが、倒木や木の根元などでも営巣します。見つかりにくい場所にあるので、うっかり巣に近づいてしまい刺されることがあります。

キイロスズメバチ

最もよく見られるスズメバチの一種。胴体全体に黄色の毛が生えていて、名前の通り黄色っぽく見えるのが特徴です。。体長は2~2.5cmほど、女王蜂でも3cm弱です。小型のスズメバチとはいえ、蜂の中では大きいほうなので、襲われるとやはり危険です。日本のスズメバチの中では大きな巣を作るのが特徴で、1つの巣の個体数も多く攻撃性も高いため、蜂の巣駆除には危険が伴います。最近では都市部でも見られるようになり、注意が必要なスズメバチです。

コガタスズメバチ

体色は濃い黄色と黒色で、オオスズメバチをそのまま小さくしたような見た目をしています。体長は2~3cmで、オオスズメバチやキイロスズメバチより攻撃性は低いですが、安全な蜂というわけではないので注意してください。というのも、軒下や庭木など、人家に近い開放された空間に巣を作ることが多いからです。巣もそれほど大きくなく見つかりにくいので、知らずに近づいて刺されることが非常に多いスズメバチです。住宅街でよく見られることもあいまって、被害事例も少なくありません。

ヒメスズメバチ

体長は2~4cmで、スズメバチの中ではオオスズメバチに次ぐ大きさです。比較的おとなしい性格で毒も強くはないですが、警戒心が強いので巣に近づくのは避けたほうがよいでしょう。腹部の先端が黒いのが特徴で、全体的に見て黒っぽく見えます。ヒメスズメバチはアシナガバチの天敵であり、巣も小型で積極的に人に被害を与えるスズメバチではありません。特に実害がなければ放置するのも選択肢のひとつです。

アシナガバチの種類

足が長く、細身な姿でよく知られている蜂です。性格は比較的穏やかで、理由もなく人間を襲うことはありません。しかし、巣に近づくと羽音を立てて警告し、さらに危害を与える素振りを見せれば攻撃してきますから要注意です。スズメバチに匹敵する毒の強さを持っていて、刺されるとかなりの痛みを引き起こします。

キアシナガバチ

体長は2~3cm弱ほど、全体的に黄色い体色で、胴体は黄色と黒の縞模様をしています。林間部や草地などが主な生息場所です。市街地にはそう多くいませんが、家の軒下や、庭木の枝あたりに営巣することもあります。アシナガバチの中では攻撃性も毒性も高いですが、危害を加えなければむやみに人を襲わないので無理に駆除をする必要はありません。

セグロアシナガバチ

名前のように背中が黒いのが特徴。キアシナガバチと同じく2~3cm弱の体長で、日本のアシナガバチの中では最も大きい種です。攻撃性は高いほうですが、危害を加えなければ積極的に人を攻撃することはまれでしょう。ほかのアシナガバチと同様、家の周りの害虫を捕食してくれます。しかし、強力な毒を持っていますから、刺されないようにじゅうぶんに注意する必要があります。

フタモンアシナガバチ

体長1.5~2cmぐらいの小型の蜂で、体全体が黒色です。胴体部分に黄色い斑点(紋)が2つあることからフタモンアシナガバチという名が付きました。軒下や木の枝、草むらなどに巣を作り、寒さにも強い特徴があります。10~11月には集団で飛んでいるのが見られる場合がありますが、多くは交尾のために飛んでいる雄蜂のため、刺されることはありません。

ミツバチの種類

蜂の中でもなじみが深く、丸っこい姿が愛らしいミツバチ。日本にはニホンミツバチとセイヨウミツバチが生息しています。ハチミツがとれるため古くから家畜化されていますが、野生のミツバチも多いです。スズメバチやアシナガバチと違い、ミツバチは働き蜂も越冬できます。

ニホンミツバチ

働き蜂は体長1cmほど、女王蜂でも2cm未満の小型の蜂です。おとなしい性格である反面、攻撃するときは大集団で襲ってくるのでむやみに危害を加えるのは控えましょう。また、スズメバチの襲来に対抗できる蜂球(スズメバチを集団で囲み体温差で殺す)の特技を持つという特徴があります。環境の悪化やスズメバチに標的にされたことを察知すると、巣を捨てて逃げてしまうのもニホンミツバチの習性です。

セイヨウミツバチ

ニホンミツバチより一回り大きく、体長は1~1.5cm、女王蜂は2cmまで成長します。ニホンミツバチよりも好戦的な性格で、スズメバチとも1対1で戦おうとしますが、ほぼ全滅させられてしまいます。集めるハチミツの量はニホンミツバチの5~6倍にもなるのが特徴です。セイヨウミツバチやニホンミツバチは、床下や屋根裏、木の穴などの閉鎖空間を好んで営巣します。

蜂の巣の種類を見分ける

蜂の巣の形状

蜂によって巣の形状や作られる場所はさまざまです。蜂の巣の種類を見分けられれば、どの種類の蜂がいるのかがわかり、対処法に迷わずにすみます。ここでは、蜂の巣の見分け方について解説します。

スズメバチの巣

一部のスズメバチを除いて、基本的には土中や木の穴など閉鎖空間に巣作りをすることが多いです。家屋では屋根裏や床下などで営巣していることもあります。徳利のような形や球体状の巣で、大きいものは60cmぐらいです。木片や樹皮のかけらをだ液で混ぜて作るため、全体的に茶色でマーブル模様がついています。出入り口は1つですが多層構造になっているので、殺虫剤などを外側から散布しても薬剤が中まで浸透しづらいです。巣の入口付近には見張り役のスズメバチがいるので、刺激しないように注意しましょう。

アシナガバチの巣

アシナガバチの巣はひっくり返したお椀が短い棒でぶら下がったような形状です。樹木のほか軒先にも巣を作ります。樹皮や草の茎の外側部分(靭皮繊維:じんぴせんい)に唾液を混ぜ合わせて作り、見た目は灰色っぽいです。六角形の巣穴がむき出しになっていて一見壊れやすそうに見えますが、スズメバチの巣に負けず劣らず頑丈です。一般に4m近い高さに作られるため、駆除するのは大変です。

ミツバチの巣

ミツバチの巣は板状で、重なるように作られていきます。板の重なりの幅は最大で約1mです。ミツバチは春から夏にかけて分蜂(巣分かれ)がおこなう習性があります。分蜂とは新女王蜂と一部の働き蜂を残して、旧女王蜂と残りの働き蜂たちが新しい巣作りをすることです。蜂の巣はハチミツ、蜜ろう、プロポリスなどでできている(巣蜜として食用可)のですが、蜜がたれて家屋を傷める可能性があるので要注意です。

まとめ

この記事で紹介したもの以外にも、日本にはたくさんの種類の蜂がいます。たいていの蜂は穏やかな性格で、ほかの害虫を捕食してくれるなど、人間に利益をもたらすことが多いです。特に外がない場合はそっとしておいてあげるのをおすすめします。しかし、庭や軒先など生活の妨げになる場所に巣を作られてしまったときは、蜂の巣を駆除したほうがよい場合もあります。判断に迷ったら業者や専門家に聞いてみるのがよいでしょう。