蜂に刺されたときの応急処置や対処法

蜂に刺されたとき

蜂に刺されると痛いだけでなく、その後さまざまな症状が現れることがあります。最悪の場合は命の危険にもつながりかねないので、蜂に刺されたら冷静に適切な対処をしなければなりません。この記事では、蜂に刺されたときの応急処置などの対応方法や、刺されたときに起きる症状、蜂に刺されれないようにするための対策について解説します。

蜂に刺されたときの5つの対応

蜂に刺されると、あまりの痛みパニックになりやすいものです。思いがけないタイミングで蜂に刺されることもありますので、普段から蜂に刺されたときにどのような対応をするべきなのか、しっかり頭に入れておくべきです。以下に5つの対応を紹介します。

1.すぐにその場から離れる

外出中や巣が近くにある場所で刺されたら、すぐにその場から離れましょう。蜂はフェロモンを発して仲間を呼ぶことがあります。特にスズメバチのような強力な毒を持つ蜂に多数から襲われると、大人でも命を落としてしまう可能性があって大変危険です。小走りに逃げて、近くの屋内など安全な場所にすぐに避難してください。刺されると不安感や浮動性めまいなどを引き起こして、自分ではうまく逃げられなくなる場合もあるので、近くに人がいたら助けを求めることも大切です。

2.針が残っていないか確認し、あれば取り除く

安全な場所へ移動したら、刺された箇所をよく注意してみてみましょう。ミツバチに刺されたときは針が残っていることがあります。その際、毒袋がついたままであることが多いので、毒が体内に注ぎ込まれないように慎重に針を取り除きます。指ではなく硬いカード状のもので針をこそぎとってください。ピンセットなどで取る場合も、毒袋に触れないように針先の部分をつまんで引き抜きましょう。

3.傷口を洗い流し、毒をしぼり出す

刺された傷口は水で洗うことで、水に溶けやすい蜂の毒が薄まる効果が期待できます。流水にさらしながら、刺された傷口周辺を指で押して毒をしぼり出しましょう。口で毒を吸う方法は、毒がだ液に溶けて体内に吸収される恐れもありますし、虫歯や口内炎などから毒が入ってしまうので危険です。虫刺され用の毒吸引器(ポイズンリムーバー)が市販されているので、アウトドア活動をよくおこなう人は事前に用意しておくのもおすすめです。

4.抗ヒスタミン剤で痛みやかゆみを抑える

抗ヒスタミン軟膏

蜂毒に体が反応して、痛みやかゆみを引き起こしますが、緩和する薬として抗ヒスタミン軟膏やステロイド外用薬がおすすめです。刺された部分がはれて痛みやかゆみが出てきた段階で塗っておきましょう。昔の民間療法では、蜂に刺されたときにアンモニア(尿など)がよいとされていましたが、医学的根拠がまったくない方法です。そもそもアンモニアや尿素には蜂毒を中和する働きはないため、痛みやかゆみに効果があるとはいえません。

5.刺された箇所を冷やし、安静にする

水や氷、保冷剤などを使用して、刺された箇所を冷やします。そうして血管を収縮させることで、蜂毒の流れを弱めることが可能です。その結果、傷口の腫れを抑えたり、痛みやかゆみを緩和したりする効果が期待できます。刺された箇所を高くして安静にするのも効果的です。刺された蜂の種類にもよっては驚くほど腫れる場合もありますが、適切な対処をおこなえば腫れは数時間でおさまっていきます。しかし、完全に元通りになるのに数日かかることも少なくありません。

蜂に刺されたときの症状

蜂に刺されると激痛が走り、傷口が腫れたり、痛みやかゆみが継続したりします。しかし、蜂毒は傷口周辺だけでなく人間の体内でほかの症状を引き起こす可能性が高い成分です。ここでは、蜂に刺されたときの症状を詳しく解説します。

局所症状

傷口周辺に起こる、腫れ、痛み、かゆみをまとめて局所症状または局所反応といいます。蜂毒は発熱と炎症を引き起こし、皮膚の組織さえも破壊するほど強力です。痛みやかゆみなどの局所症状を引き起こすのは、主にアミン類と呼ばれる成分で、ヒスタミン、セロトニン、カテコールアミン、アセチルコリン、ポリアミン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンがそれにあたります。多くの場合、1週間前後は症状が続きます。

全身症状

全身性のアレルギー反応が全身症状です。具体的には、不安感やピリピリする感覚、めまいのほか、全身にかゆみやじんましんが出ます。ほかにも、唇や舌が腫れたり、ぜーぜーと呼吸したり呼吸困難や意識を失ったりする場合もあり、大変危険な症状です。蜂毒の中のさまざまな酵素や神経毒であるペプチド類が、全身のアレルギー症状を引き起こします。また、オオスズメバチは唯一、非酵素系神経毒のマンダラトキシンを持ち、刺されると麻痺や失神に至ることがあります。

蜂に刺されたら病院に行くべき?

症状が軽くても、念のため病院に行くことをおすすめします。局所症状だけなら皮膚科を、何らかの全身症状が出ていたらアレルギー科を受診してください。全身症状の中でも特に重度のアナフィラキシーショックは、1000人に2人程度(約0.5%)と発生する確率は低いですが、刺されてから15分以内に発生する即時型以外に10日前後経過してから発症する遅延型があるので注意が必要です。アナフィラキシーショックには、エピペン(エピネフリン)が処方されます。

蜂に刺されないようにするには

蜂に刺されないようにする方法

蜂に刺されたときの応急処置を知っておくだけでなく、どうすれば蜂に刺されにくくなるのかの知識を持つことも有効な対処法です。ここでは、蜂に刺されにくくなる対処法を紹介しますので、外出時の参考にしてください。

黒い服を着ないようにする

蜂は黒色に反応しやすいと言われています。特にスズメバチは黒に対する攻撃性が高く、逆に白色や銀色などには反応が薄いことが知られています。よって、アウトドア活動の際は黒い服を避けたほうがよいでしょう。また、蜂に襲われたときは目や髪(頭)などが狙われやすいので、頭部を保護するために帽子などをかぶるのは理にかなっていると言えます。また、レースやワンピースなどの、薄くてヒラヒラする衣服も、蜂の攻撃性を高める恐れがあるので、身に付けないほうが無難です。

ヘアスプレーや香水をつけないようにする

蜂はにおいにも敏感です。香料をたっぷり含んだヘアスプレーや香水、化粧品などに反応し、襲ってくる場合があります。登山やバーベキューをするときは、ヘアスプレーや香水などをつけた状態でおこなわないようにしましょう。また、蜂は、人間の体臭や汗のにおいにもつられることがあるようです。夏のアウトドア活動は汗を大量にかいてしまうものですが、こまめに拭き取って汗のにおいをばらまかないように注意したほうがいいかもしれません。

蜂の巣に近づかない、追われたら走って逃げる

蜂の巣を見つけたときに、興味本位で近づかないようにしてください。蜂を刺激してしまうと、巣の中から大量の蜂が一斉に攻撃してきますので大変危険です。万が一、蜂に攻撃対象にされたとわかったら、すぐに走って逃げてください。蜂の飛ぶ速度はそこまで速くないので、追われても走って逃げれば刺されずにすむことが多いです。ただし、スズメバチなどはしつこく追いかけてくる習性があるので、そもそも刺激しないことが肝心です。

まとめ

蜂に刺されたときは、大人でもパニックになりやすいものです。もし、小さな子どもが蜂に刺されてしまったときは、対応を誤ると命の危険にもつながりかねないので、冷静に適切な対処をする必要があります。普段から蜂に刺されたときの正しい応急処置について知っておくのは大切です。特にアウトドアを趣味にしている人は、ポイズンリムーバーを用意したり、蜂に襲われにくい服装をしたりして、蜂の被害を最小限にするよう心がけるとよいでしょう。